「なんでデータサイエンティストやってるの?」参加レポート
「なんでデータサイエンティストやってるの? 〜 思い描いていた自分を思い出すために。 vol.4」というとてもエモいイベントに参加してきました。
登壇者が豪華で話が面白く、キャリア論や内面的動機の話をたくさんしてくださり、とても良いイベントでした。 かなり踏み込んだ話もしてくださったため、本記事ではあまりプライベートなことは書かないようにしつつ、心に刺さった部分をまとめました。 参加枠や日程の都合で参加できなかった方に雰囲気だけでも伝われば幸いです。
1. ユーザベース 小副川 健さん
会場を貸し出している株式会社ユーザベースのChief Data Scientistの方。
前職は他企業のデータ分析のコンサル的なことをされていたそうで、
外部のデータ分析と自企業における内部のデータ分析を両方経験してみての話が印象的でした。
データサイエンティストの好きなところ
- 適切なデータがあれば知らない分野の課題にも携われる
- 研究・ビジネス・エンジニアリングの全てに関われる
他企業のデータ分析と、自企業のデータ分析の違い
- 他企業のデータ分析の特徴
- いろんなデータに触れることができる
- 顧客のデータの理解が難しい
- 蓋を開けたら使えるデータではなかったということもよくある
- 自企業のデータ分析の特徴
- 課題のオーナーが近くにいるため密なコミュニケーションが取れる
- データが足りなければ自分で集めることができる
- データ活用の業務におけるアクション設計までできる
- 今はデータがなくても、今からデータを取り始めれば数年後は実現できる
- どちらのほうがいいという話ではないが、今は自企業のデータ分析が楽しい
2. ブレインパッド 吉田 勇太さん
ブレインパッド新卒5年目のシニアデータサイエンティスト/グループリーダー。白金鉱業というイベントの主催の方。
なんでデータサイエンティストに?
- 意味がある仕事と感じられるから
- 非効率の解消、無駄の排除、プロの勘どころの継承、局所解からの脱皮等ができ、社会をよくすることができる職業である
- 仕事を単なる業務ではなく人生の意味にしたい (あってもなくてもいい仕事はしたくない)
- 人の生活や人生をより健康的に豊かにできる!
また、話の中でメルカリ樫田さんの以下の記事を引用し、分析から意思決定をサポートする重要性についての話も印象的でした。
例えば、すごく心配性の人に「明日雨降りそうって聞いたけど降水確率って何%?」と聞かれるとします。「90%と10%だったらどう変わるの?」と聞き返したら、「どっちみち傘を持って行きます」みたいな。
これですと結局、意思決定は変わらないので、分析する必要はないですよね。実は、こういうことって結構あるんですよ。
3. マスクド・アナライズさん
皆さんご存じイキリデータサイエンティストのマスクマン。話がとても面白くて爆笑をかっさらっていました。
いろいろなことがあったけれど、ずっとIT業界で働いているのはなぜか?
- 「普通の人が30年かかるところを、1日でできるからですよ」(漫画:サンクチュアリより)
- ↑のセリフ、実はヤクザのセリフ
- そう、IT業界はヤクザと同じくらいエキサイティング!
データサイエンティストと同じ能力が求められる職業とは?
ロールモデルにすべき人物像とは?
- そう、獣神サンダーライガーですよね
- 身長が小さい少年がメキシコでの修行等を通してマスクマンとなり、現在では人気プロレスラーになった
- 同じマスクマン同士でイベントを開催する調整力や行動力等、データサイエンティストも見習うべき部分がたくさんある
- 詳しくは自伝を読むべし
データサイエンティストにキャリアプランはあるのか?
- そんなものはない。
- 獣神サンダーライガーのように、自分の道は自分で切り開くべし
4. 日本経済新聞 石原 祥太郎さん (u++さん でおなじみ)
u++さんのブログに資料とイベントメモがあるので、こちらをご覧ください。
よくデータサイエンスはそれ単体よりも、他の分野との掛け算になったときにより力を発揮する、と言われますが、 「メディア」×「データサイエンス」という道を切り開いているu++さんは強いなと思いました。
5. メルカリ/メルペイ 樫田 光 さん
今をときめくメルカリのデータサイエンス部隊のヘッド。noteも有名。
35歳であるということ
データ分析の専門職になったのは30歳。10年前の25歳のときには現在のようになっているとは全く思っていなかった
- 「ひとは1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する」
- 何かを始めるのに遅すぎることはないのかもしれない
26歳のときの英語での仕事が一つの転機に
- 「データ」や「数字」は世界共通言語と知る (英語がわからなくても、データや数字を出せば納得してくれた)
- 資料を準備する大切さを知る (英語に自信がなかったのでめちゃめちゃ準備した経験が、今も役に立っている)
なんでデータサイエンティストやってるの?
- 自分の好きなこと(疲れないこと)がやりたかった
- 人間向き不向きがあるのはしょうがない
- データを準備する作業は辛くなく、いつまでもやってられた
- 生存戦略とやりたいこと=「ビジネスと開発の間」
- 「21世紀に生まれたのだから、21世紀にしかできないことをしたい」
なぜメルカリで働いているのか?
- 前職で3年はデータ分析の修行をしようと思っていた。(周りにも言っていた)
- しかしメルカリの中の人からずっと誘われ続けていた
- 大きなチャンスをつかみたいなら「自分のタイミングで」というのは通用しない。(自分の勝手な3年のサイクルで、10年に1度のチャンスをつぶしてもいいだろうか?という問いへの転換)
- 結果、約1年半でメルカリに
- 「ギターが上手くなるのを待っていたら、君はおじいちゃんになってしまうよ」(甲本ヒロト)
- 何かを始めるのに早すぎることはないのかもしれない
33歳でマネージャーに
- マジでやりたくなかった
- しかし、「やるか・やらないか?」ではなく「いつかやるなら今がベストか?」という問いへ転換した
- いつかは通らなければならない道であり、だとすればメルカリの環境はベストであるはず
まとめ
- キャリアはいい意味で思い通りにならない
- 5年後どうなるかはわからないしそれでいい
- (データサイエンスは課題設定が重要といわれるが) 自分に対しても適切な問いを立てる
- Yes or No は実はほぼ決まっていて、「今決断するか、先延ばしにするか」という問題であることも多い
- 適切な問いに変えて、自分に問いかけるモーメントを逃さない
感想
5人とも生き生きとトークをされており、データサイエンティストという職業に誇りを持っているのが伝わってきました。
最近はデータサイエンティストのキャリアが不透明とTwitterで話題になったり、 私個人としてもこの先どこへ向かうべきか不安やもやもやするところがあって今回参加したのですが、改めてデータサイエンティストっていい職業だな~と思い直すことができました。 またキャリアに関しても、「将来どうなるかはいい意味でわからないしそれでいいが、自分の道は自分で切り開くしかなく、適切なタイミングを逃さないことが重要」というメッセージが心に残っています。
参加できて本当によかったです。登壇者や運営の皆様、本当にありがとうございました。
最後に
宣伝しろと某マスクマンに言われたので貼っておきます。皆さん買いましょう。
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